ねこさんのお仕事日記

長年、企画、営業フォローにおいて法務関係になぜか携わり、日常の出来事を交えて契約書、法律についてお話します。

契約書の整理 その1(締結後、ただファイルだけしてていいの?)

今、会社には、2種類の契約書があります。

①システムから出力される顧客との契約書。

②取引先との基本契約書、覚書、システムで対応できない個別契約書など。(A4もしくはA3の大きさを小冊子又は1枚ものの契約書。)

ある程度の規模の会社であれば、膨大な契約書の数だと思うが、一般的にどう管理されているのでしょうか。

今回は、①のシステムから出力される顧客との契約書についてお話しましょう。

例えば、顧客との契約が1万件あるとすると、契約書も1万件あります。

でも、契約期間があり、その契約が終わって新たな契約を取り交わす場合。又その契約に覚書で追加条項を締結する場合と、単純にファイルしているだけでは管理していることにはなりません。

もう、10年以上も前になります。

顧客との契約書保管のキャビネットを開けると、契約番号順によれよれの安価なビニールフォルダーにファイリングされている契約書が並んでいました。

当時は、ただ並べているだけで管理とは程遠いものでした。当時、約20年分そのままに並べられていました。

よせばいいのに、「整理しよう」と上司に相談しました。特に高いコンプライアンス意識からでもなく、私はその時、長期病気で休養をとって復帰したばかりで特に仕事らしい仕事はなく気軽~な気持ちからでした。

開けてびっくりはこのことで、やればやるだけ抱えている問題点がでてきて途中「パンドラの箱を開けてしまった!」とため息と血尿もでるくらいで、今から考えても「アホ」やと思います。

<情報収集>

まず、どういう作業工程をとり、最終的にどういう保管の形にするのか。作業場所、作業人員数、予算等。色んな資料と情報を集める事から始まります。大手のコクヨ本社、キングファイルに相談しました。本体の会社の書類管理ももちろんですが、会社の規模、事業の内容により契約形態、契約書の保管管理が変わってきます。

<作業環境>場所

作業場所は、全契約書を今のフォルダーから外す作業が必要なため、固定で施錠ができる部屋をもらいました。ちょうど倉庫代わりにしていた10畳ほどの部屋がありましたので、中のものをかたずけ、古い机やいすを作業用に使えるようにしました。

<作業要員>

派遣会社に、「データ管理、帳票管理の経験のある優秀な人」と注文をつけて依頼しました。準備を進めていくうちに、一緒に仕事をする人は、それなりの役割を担ってもらう必要があり、優秀な即戦力がほしかったからです。

派遣社員には、優秀な社員になると、企業の要望する高度な業務を、複数の派遣会社が優秀な人材をもって「入札」で仕事を獲得するという話があります。プロ意識の高い人ですね。それ以外はいりません。

<予算>

人件費、フォルダー(結局、キングファイルにしました)、ポケットファイル、テプラテープ、ファイルの仕切り・・ざっと目に見えたところでは500万円はかかりました。

<期間>

6か月

<ゴール目標>

契約書の分類とデータ化まで

作業には、手順というのがあります。理想の形に一足飛びにいけたらよいのですが、量が多いほどそれは無理です。

又、作業の過程で現状の問題点、課題を洗い出し、業務にあった最終着地点を考える方が、より現場にあったものとなります。10社あれば10通りの方法があり、それは自分たちで見つけていかなければなりません。又、会社の規模が変化していくなかで、今の現状にあったものであるかどうかの見直しは必要です。それは、書類管理だけでなく一般の業務にも共通していると思います。

大企業なら、こういった管理は、予算もあり規模もシステム化されていると思いますが、中小の企業では、人、物、金に限りがある場合、同じようにはできません。

又、誰でもそうですが、何か問題があってから改善の意識が起こりますが、当時、特にコンプライアンスとかうるさくなかったので、書類整理に、そんなにお金かけてること自体が理解されませんでした。「金にならないことをしやがってー!」と、直接暴言を言われたこと印象的でした。(その本人が今の上司ですが・・)

ま、意識が低かったのですね。

信用とは何か。たとえば、机の上が整理されず、重要書類もくちゃくちゃに置かれていて、紛失されても不思議じゃない人っています。そんな人が本当に仕事ができると思いますか?お客様の実印を押印された書類をなくされたとなったらどうですか?信用問題ですね。

次は、契約書の整理から出てきた問題や課題についてお話します。