ねこさんのお仕事日記

長年、企画、営業フォローにおいて法務関係になぜか携わり、日常の出来事を交えて契約書、法律についてお話します。

仕事には覚悟が必要?(反社条項の覚書)

 1月5日(金)は、初出の日だったのですが、いきなり戦闘モードになってしまいました。誰に?ピントがずれた社内の総務の管理職にです(笑)

うちの会社は、とある中堅会社の関係会社。

その本体から、数年も前から「継続的に、取引している顧客、取引先と「反社会的勢力条項の覚書」を締結しなさい!」というお達しがあり、毎年12月に締結状況を報告しなければなりません。

今、世界中でテロなどを起こしている反社会的勢力から、暴力団関係者との取引は、一般社会では受け入れられない。銀行、クレジットカードの取引の場合、本人確認を求められますね。

会社の取引も同じで、暴力団のみならず反社体制の団体、個人とは取引は応じられない意思を示すのです。その会社の社員が暴力団関係者であってもです。暴力団と取引していてもだめです。

もし、知らないでそういう会社と取引し、後日発覚した場合は、取引を直ちに中止しますよ。中止したことで損害を受けられてもしりませんよ。でも、こちらからは損害賠償を請求しますねと盛り込まれたのが「反社会的勢力条項」となります。

平成22年12月に国において「企業活動からの暴力団排除のとりくみについて」が取りまとめられ、全国の自治体でも反社条例が成立していきました。

本体からの指示は総務が受けるのですが、なぜこういった条項を取引先と取り交わすようにお達しを本体がしてくるのか、理解しているようで理解していない。

たとえば、金銭の多い少ないは関係なく、取引の内容も社用の小さいクリーニング店であっても、もし反社勢力のお方でしたら、あそこの会社は、「暴力団とつきあっていた」となる。覚書が取り交わしできていなければ、法的にも効力はすくない。(契約書を取り交わししていなくても、民法レベルで裁判はできるけれど不利はいさめません。)そうなると、本体の会社は、「あれだけ言ってたのに、バカ、アホ、はげー・・!」になって、うちの大株主である本体大明神は「売ってしまえ!」となり、とほほ弱小会社は他社へ売却の憂き目になる。。

ま、それ以前に、暴力団と取引していた会社というレッテルをつけられたら社会的信用はなくなりますね。

最近の基本契約書には、大体この条約がセットになつているが、古い取引先との契約書にはない。今更感がある。取引先、顧客に「反社の条項」を示し締結するということに大変後ろ向きな感情を少なからずもっているのがわかる。特に年齢が上になればなるだけその傾向は多い。

一番いいのは、日々の帳票に盛り込めたら一番いい。お互いに取引の中で手を煩わすことなく成立できる。

片務契約でも成立する。

又、1契約書を締結するには時間がかかる。お互いの利益とリスクを損なわないような内容にしたい思惑がからむのでお互いの法務担当者が精査する。すなわち、契約=戦略なのです。

大手の会社なら、しっかりした法務部が作成、監修をし、担当者が締結するための流れも日常のルーチンに入っています。小さい会社になるとそうはいかない。働き方改革と世間でいうほど現場の実状は厳しいです。それに、年末から年度末にかけてどこの会社も忙しい。うちの会社も例外でない。営業関係は殺気立つことさえある。そこに冒頭の総務の管理者。

「全社の担当者に160件の取引先と締結するよう指示する。今までは、こちらで選別してたから締結相手少なくしてやったけど、今年は多いからな。」

「は?この忙しいときに何ふざけてるの?今までのやり方が今回大きなつけになったんでしょ?仕事の仕組みとしてまずいと思わないの?この何年間なにも対策してないのは、あなたの責任でしょ」

「全部締結できなくてもいい。そこまで厳しく言ってないし」

「?そういう問題ちゃうやろ。あんたには仕事の覚悟ってもんないんかい!」

という言葉で大人げなく今年の初仕事が始まりました。

次は、契約書の管理についてお話します。